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  • 介護福祉士への道のりは法改正でどう変わったか

    ~今年の国会で成立した法律にもとづき、介護福祉士の資格を取るまでのプロセスが見直されることになった。大学や専門学校などに通って目指す「養成施設ルート」でも、国家試験の合格が必須の条件とされる。来年度から段階的に導入される予定だ。全体としてどのように変わっていくのか、これまでの経緯とともに改めて整理した。

    介護福祉士になるまでの道のりは、大きく分けて「実務経験ルート」、「養成施設ルート」、「福祉系高校ルート」の3種類。昨年度まではそれぞれ、
    •「実務経験ルート」= 現場で3年以上の経験を積んで国試に挑戦
    •「養成施設ルート」= 高卒後に養成施設で2年以上学ぶ
    •「福祉系高校ルート」= 福祉系の高校で3年以上学んだ後で国試に挑戦

    という流れだった。2013年度に資格を得た人でみると、「実務経験ルート」が全体の8割強を占める約8万3,000人、「養成施設ルート」が約1万1,000人、「福祉系高校ルート」が約4,000人という内訳になっている。

    「実務経験ルート」、今年度から研修義務化

    課題として指摘されてきたのが、各ルートの違いの大きさだ。例えば、「養成施設ルート」だけが国試を受験しなくても済む。また「実務経験ルート」には、十分な知識を得るための座学の時間が設けられていなかった。

    このため、厚生労働省は整合性をとる改革に着手。それぞれのルートを、一定の教育課程や実務経験を終えた後で国試に合格する、という形で統一することに決めた。専門職としての基礎的な能力をしっかりと身につけてもらい、社会的な評価の向上やサービスの質の底上げにつなげるという意味合いも強い。様々な異論が出て紆余曲折を繰り返したが、まずは「実務経験ルート」に450時間の「実務者研修」を義務付けることになった。

    この適用は今年度からだ。「実務経験ルート」の人は、「実務者研修」を修了していないと国試は受けられない。450時間の中には、過去の研修の受講歴に応じて省略できるものもある。例えば、「介護職員初任者研修」をすでに済ませている人の場合は、320時間までの短縮が可能だ。大半は通信で進められることもあり、「負担はそう重くない」とみる人もいる。

    厚労省は今後について、多くの人が「実務者研修」をこなしていける環境の整備に努めるという。必要な受講費を貸し付け、一定期間にわたって現場で働けば返済を免除する仕組みなど、支援策の充実も図っていくとした。日々の仕事を続けながら資格を目指せるよう、科目別に国試の合格を認定する仕組み(単位制)を検討する意向も示している。

    「養成施設ルート」、国試に受からなければ暫定資格に

    今年の法改正で変更されたのは「養成施設ルート」だ。国試の合格が新たに求められる。完全な義務化は2022年度。来年度から2021年度までの5年間は、そこへ向けた移行期間と位置づけられている。厚労省は関係者の準備に必要な時間などを考慮。見直しを2つのステップに分けて進めることにした。

    まずは最初のステップ。来年度から5年間の移行期間だ。この間に養成施設を出ると、資格は暫定的なものとして扱われる。正式に介護福祉士となるためには、
    •卒後5年以内に国試に合格
    •原則として卒業から5年間連続して現場に従事

    のどちらかを満たさなければいけない。これらをせずに期限が過ぎると、国試に合格するまでは介護福祉士とは認められなくなってしまう。

    次のステップは2022年度以降。こうした経過措置が終わり、国試が例外なく条件となる。養成施設を出ても国試に受からなければ、暫定的な資格さえ得ることができない。

    「養成施設ルート」への国試導入の時期・方法(厚労省の資料より抜粋)
    1. 2017年度から、養成施設卒業者について、国家試験受験資格を付与
    2. 2017年度から2021年度までの養成施設卒業者については、卒業から5年間、暫定的に介護福祉士資格を付与。その間に以下のいずれかを満たせば、 その後も引き続き介護福祉士資格を保持
    a. 卒後5年以内に国家試験に合格
    b. 原則卒後5年間連続して実務に従事
    3. 2022年度からは、国家試験に合格することが介護福祉士の資格取得の要件

    これら一連の見直しには、「資格を取るハードルが上がって意欲を削いでしまう」「介護福祉士を目指す人が減る」「人材確保に向けた施策に逆行する」といった異論も多かった。一方で厚労省は、「多様化・高度化する介護ニーズへの対応に必要な資質の向上につながる。各ルートのアンバランスも是正される」との立場。「介護福祉士への信頼を高めるためにも必要」と理解を求めている。