~厚生労働省は7月20日、およそ1ヵ月半ぶりに介護保険部会を開き、要介護度が低い人への介護サービスの縮小に関する議論を本格的に開始した。
厚労省が提案するのは、訪問介護のなかの掃除や洗濯、調理といった生活援助サービスや、福祉用具貸与や住宅改修における、軽度者への給付の見直し。この日の部会では、同省の提案に対し、委員がそれぞれの立場から意見を述べた。
慎重派の委員からは、「生活援助と身体介助は一体的に提供されるものであり、生活援助の一部のみを取り出して給付を抑制するのは困難」といった声や、「総合事業の検証も不十分ななか、軽度者への支援をはずすのは時期尚早」などの意見が聞かれた。
一方、賛成派の委員などからは、「制度の持続可能性を考えれば、自己負担化はやむを得ない」「予算がいくらあっても足りない」などの意見があがった。
厚労省の資料によると、訪問介護を受ける利用者は、「生活援助中心型」「身体介護中心型+生活援助加算」「身体介護中心型」のいずれのパターンも年々増加しており、2014年はそれぞれ47.1万人、30万人、48.4万人を数える。生活援助のなかで特に需要があるのは「掃除」「一般的な調理・配膳」だ。
しかしこれらの生活援助を、7割の介護福祉士が「ほぼ毎回」実施しているのが実情で、介護福祉士の専門性を活かし切れていないという課題がある。
厚労省は、専門性に応じた業務の類型化・機能分化により介護人材の不足を補うとともに、軽度者へのサービスを民間企業やボランティアなどに任せることで、給付の適正化をはかりたい考えだ。